警察24時の取材が来た時、上司の巡査部長が別人になった

私が警察署に勤務していた時も、警察24時のテレビ取材班が何度か来ました

1週間~10日間くらい、テレビ局のスタッフがパトカーに同乗していました。

警察24時の取材が来ている時の、警察官たちの心情や本音が一部垣間見れるお話を紹介します

私が一緒に勤務していたパトカー乗務員の上司の話です

警察官は取材班が入ってると意識するの?

人によって大きな差はありますが、意識する人はかなり意識します。

現場対応の時、カメラの前では明らかにいつもとちがう人もいます

いつもなら言わないようなことを言ったり、わざとアグレッシブに振舞ってかっこいいところを見せようとします

自分が撮影された映像が放送されてほしいと思ってる人もいます

そうすると、放送する人たち、見る人たちが望んでいそうな職務執行をします。

そして、自分が放送されることがわかれば、録画予約します。

 

どれくらい変わるのか

50代半ばのベテラン巡査部長Nさんの事例を紹介します

その人はパトカー勤務員で、ちょっと口が悪く、でもいつも元気。

思ったことはズバズバ言う気持ちのいい人。

私はこの上司は好きでした。

私は交番勤務員だったのですが、いろんな現場でよく一緒に対応しました

 

この人の特徴は、事案の大小に応じてエネルギー配分を大きく使い分けること

ベテランなので、その現場が大変な事案なのか、くだらない事案なのかの判断も早い。

重要な事案だと判断すると、前に出て行きます。

どうでもいい事案だと判断すると、私たち若手に「適当に追っ払っておけ」といってパトカーに乗ってさっさと現場を離脱する。

例えば、酔っ払いが通行人に絡んでいたとしても、怪我や盗難などの実害がなければ、私たちに「適当に駆除しておけ」といって、省エネで終わらせ、パトカーで去っていく。

自分がエネルギーをかけるべきか、そうでないかをはっきり区別できる人でした。

私はこういう人はとても好きです

逆に、どうでもいいことまでグダグダうるさく言う頭の悪い人もいましたが、そういう人は大嫌いです。

しかもその判断はいつも適切なので、私たちも不満を持つことなく信頼していました。

 

そのNさんのパトカーに警察24時の取材班が入りました。

深夜に居酒屋の前で「酔っ払いが騒いでいる」という通報が入りました

私の交番の受け持ち区で、私も現場に行きました。

現場の居酒屋の前に着くと、3人の男たちがいて、その中の一人が確かに大声で叫んでいました。

 

私が当事者たちから聴取していたところ、Nさんがパトカーでやってきました。

私はまずこの時点で「あれ?」と思いました。

パトカーにも一応受け持ち区があります。

この現場はNさんパトカーの受け持ち区からはずっと離れた場所でした

場所的にも、事案の内容からしても、いつもであればNさんがわざわざ来るはずないのです

だから「あれ?」と思いました

まぁもしかしたら、通報が入った時にたまたま近くにいて来てくれたのかな、と思いました

 

パトカーから降りてくるNさん。テレビカメラを持った取材班も後ろからついてくる。

私「部長、すいません、うちの管内なのに。ただの酔っ払いの騒ぎです。実害なさそうです」

Nさん「そうか、その野郎はどこだ?」

別の警察官に聴取されているその酔っ払いを私が指さすと、Nさんは近づいていった。

あれ、今後ろのカメラをチラっと見たような。

 

男に近付いていったNさんは、別の警察官が聴取しているにも関わらず、いきなり大声で

「おい!酔っぱらって人様に迷惑かけてるのはおめぇか?!」

「酒飲んでっからって何やっても許されると思うなよ。少なくともおれは許さねぇからな」

私の方を向き「おい、〇〇(私の名前)どんな状況だ?」

 

え?え?何?

どうしたのこのテンションの高さは?

いつもならとっくに「適当に駆除しておけ」事案なのに

言葉遣いも声の大きさもいつもと全然ちがうし。

私「まぁ酔っぱらって大声で騒いでいたみたいです。暴行とかその他一切実害はないようです」

Nさん「この野郎!パトカーに乗れ!

Nさん、酔っ払い、カメラマンがパトカーへ。

数分後、パトカーから出てくると

「おい〇〇(私のこと)、しっかり反省させておいたからよ。あとは安全に帰宅させろ。本人の身の安全も考えてな。それがおれたち警察の任務だからよ。」

そう言い残すと取材班とともにさっそうと現場離脱していきました

 

・・・・・・

えー・・・・。

部長・・

そこまで変わる?

いつもならこの事案でこの場所まで来ないよね?

来ても「適当に駆除しておけ」ですぐ帰るよね

 

部長、テレビに映りたかったんですね

部長のそういうところも私は大好きです

いつも暴力団相手にもまったく一歩も引かない部長だからこそ、よけいおもしろかったです

 

そして一ヶ月後の放送予定日前日

Nさん「おい、明日放送の日だな。録画予約してきたか?」

私「あ、明日なんですか?完全に忘れてました」

N「しょうがねえな。DVDにしてきてやるからよ」

 

翌日は私たちの部は休みの日でした

まったく興味のない私は、放送当日に思い出すこともなく、放送時間には彼女とホテルにいた。

私のねちっこいクンニがまだまだ終わらないというその時、携帯電話がなった。

もう!いいところなのに!

と思って着信を見ると、Nさんだった。

そうか、そういえば今放送時間だったな

Nさんからの着信画面を見て思い出した

ごめんNさん、おれは今一番大好きな時間を過ごしているんです

電話は無視して、彼女の体勢を変えさせてクンニに戻った

 

 

翌日出勤すると、、Nさんが嬉しそうにDVDを渡してきた

その嬉しそうな顔しながら

「ったくテレビ局はわかってねぇよな。おれが酔っ払い自身の身の安全まで心配しているところをカットしやがってよ。あれが警察官としての優しさが視聴者にわかってもらうところじゃねぇか。

まぁ放送したから許してやるけどよ。DVDは返さなくていいから」

 

Nさんごめんなさい、あのDVD実は一回も見てません

でも、あなたのそういうところは大好きです

今はもうたぶん定年退職しているあのNさん、元気な老後送ってるかな

警察官として実にたくさんのことを学ばせてくれた上司でした

 

 

という警察官たちの心情を知った上で、警察24時を見てみるとさらにおもしろく見られると思います。

私はほとんど見たことありませんが、Nさんみたいな警察官がたくさん出てくるでしょう。

そして自分がテレビで放送されていることを大喜びしながら録画しているはずです。



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