「中身よりも形」。新しい警察学校長対策のために教官が学生に指示したこと。

警察学校初任科

私が警察学校に入校していた期間、途中で学校長が異動で別の人に変わりました。

新しい学校長が来て、学校も教官たちも大混乱になりました。

それは悪い意味で。

この学校長対策のために、教官たちが私たち学生に指示した内容が本当に笑るものでしたので紹介します。

警察学校の学校長の階級は、確か・・警視か警視正です。(卒業証書か賞状を見ればわかるのですが、もう忘れてしまいました。)

警察の中でも少数しかいない上級幹部です。

 

私が入校した当初の学校長は教官たちも絶賛する立派な方でした

学生たちにもとても気さくな人で、雲の上の階級というような顔はまったくしなかった。

どの教官も言っていました

「お前たちは学校長にとても恵まれている」

私たちはその学校長しか知らないので、いまいち実感がわきませんでした。

入校後に行われた懇親会でもこの学校長はとても気さくだった。

その懇親会は学校で行われたもので、特別にお酒もOKだった。

 

学校長もかなり酔っぱらっていて、スピーチもまったく固くない。

過去の女性の話をしたり

学生を指名して壇上に上げたり

自分のネクタイを学生の頭に巻いてしまったり

 

警察官になったばかりの学生にとって警視などは本当に雲の上の存在

でも階級で人を差別することない学校長は学生からも慕われていました

 

しかし、、、

入校期間が半分を過ぎた頃、その学校長は異動になり、新しい学校長に変わりました

 

この新しくやってきた学校長、それまでの学校長とはまったく逆。

警視のおれはお前らとはちがう。

そういう学校長だった。

教官が言っていた「お前らは学校長に恵まれている」という意味がよくわかることになりました。

 

以前の学校長のやりかたがどんどん変わっていった

悪い学校長が来て大変なのは、私たち学生よりも教官たち。

教官たちが毎日右往左往しているのが、学生の私たちにもよくわかった。

 

それまで学校長のことについて悪く言ったことなどなかった教官たち。

それが新しい学校長が来て翌日には、学生たちの前で愚痴をこぼした

「今度の学校長は中々気難しい人で、我々教官もまだ戸惑っている。学生のみんなもこれまでといろいろ変わるかもしれないが、なんとか対応するように」

 

教官が学生にここまで言うってことは、教官たちの苦労は相当なものだったと思う。

 

教官たちがどれだけ苦しめられていたか。

それがとてもよく分かった時があった。

 

それは、学校長の授業がある日の朝だった。

数か月に一回程度、学校長が学生に直接授業をする時がある

新しい学校長が来て、初めて学生に授業をする日だった。

その日の朝、担任の教官から指示があった

「今日は学校長の授業がある。もし一人でも寝たりする者がいたら大変なことになる。絶対にそんなことのないように」

うん、ここまでは私たちもわかっている

もし学生の一人でも寝てしまえば、私たちよりも担当教官が大変な目にあってしまう。

しかし、この学校長の場合、さらにこんな指示が追加された

「もしノートを取るとしても、5秒以上は下を向くな。それ以上長く下を向いていると学校長から寝ていると判断される恐れがある。

ノートを取る際は、なるべく上を向いたまま、下を向くときは一瞬だけにしろ。

それから、必ず話のタイミングで頷くように。学校長にわかりやすいように大きな動作で頷くように

これは他の全クラスでも同じ指示が出ている」

 

教官の顔は真剣だったが、さすがに何人かの学生がこらえきれずに笑った。

そりゃそうだ。

こんなアホな指示があるか。

寝ていると思われないためにノートを取る時に下を向くな

この授業はなんのためにあるんだ?

 

数人が笑ってしまったのを見て教官もこう言った

「おれたちだってこんな指示をしたくてしているわけではない。しかし教官たちで話し合った結果これでいこうということになった。

いいな?どれだけバカバカしいと思っても必ず守れよ」

 

今教官たちは本当に大変なんだということがわかった。

私たちのクラスはみんなが担当教官のことが好きだった。

だから私たちは教官のためにこのバカバカしい指示を守ろうと決めた。

 

そして、いよいよ学校長の授業の時間になった。

見事だった。

誰もがまっすぐ学校長を見続けている。

誰もがノートを開きペンを持っているが、下を向いて書き留める者はいない。

そして、首振り人形のようにつまらない話に相槌を打っている。

これ↓知ってます?首がグラグラ動くあかべこ何とかっていう。

これがたくさん置かれているように見えました

異常な光景だった。

私は眠気よりも笑をこらえるのに必死な一時間でした

 

授業の中身がどうだったのか

こういう性格の人の話がおもしろいわけがない。

魅力のない人間が話す話がおもしろいわけがない。

まったくためにならない話ばかりだった。

きっと多くの学生が睡魔が笑いと必死に闘っていた。

 

しかしそれでも私たちはやりきった。

誰一人下を向くことなく、ノートを取ることもなく、(取る必要のある内容もなかったが)、学校長様を満足させるために正しい姿勢を取りきった。

間違いなかったことは、警察学校の学生として得たものは何一つなかったということだ。

 

でも私たちよりも心配していた教官たちもきっと安堵したはずだ。

 

中身よりも形が重要。

特にこういう幹部に対しては。

でもこういうことに疑問を持ってはいけない。

それが警察学校でストレスを増やさないために必要なことでした

 

このような警察学校の実態については、有料マガジンの方でたくさん紹介しています。

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