警察学校でもっとも過酷だと恐れられる訓練。初訓練後の率直な感想を言うと

警察学校初任科

「入校期間の後半からもっとも過酷な訓練が始まる」

警察学校に入校したばかりの頃、そんなことを教官から時々聞かされていた

その訓練が夏期に行われた場合、70%以上の確率で救急車の要請があるらしい。

 

学校でその訓練が行われている日はすぐにわかる。

学校のどこにいても音が聞こえるから

その音が聞こえた日は、確かに救急車がサイレンを鳴らしながら学校に来くることが何度もあった。

入校して初めてその音が聞こえてきた日、教官はその訓練のことについて教えてくれた

もっとも過酷な訓練とは

その訓練とは↓これ↓

機動隊の訓練(警備訓練)

映像拾ってきました⇒警視庁機動隊員訓練

こういった訓練を警察学校でもやるんです

見た目にはわかりませんが、この装備品がかなり重くて暑い

ヘルメットやチョッキは防護性を高めるために、分厚くて重い素材で作られている。

それに加えてあの盾

上の映像は新式の透明な盾ですが、警察学校では旧式のジェラルミンの盾

↓こういうの↓

けっこう重い。何キロあるかは忘れました。5キロくらいはあるのかな。

これを片手で持ちながら、数キロ走ったり、ダッシュしたり、盾を持ち上げたり下ろしたり。

この重装備による重さと暑さにやられて、訓練途中でぶっ倒れる者が出るらしい

訓練中はこの盾がぶつかり合う音が響く。

また、掛け声では大声を出すことを求められる

そのため、この訓練が行われていると学校のどこにいても聞こえてくる

恐怖心を煽り続ける教官

先輩期たちの訓練が行われている日、救急車のサイレンが近づいてくると教官は私たちに言った

「ほら見てみろ。また今回も救急車が来たぞ。お前らは何人運ばれるだろうな。楽しみにしてるぞ」

「おれたち教官は教室ではこんなにフレンドリーだけど、あの訓練の時だけはどうしてもアドレナリン全開になる。

これは警察官をやってきた人間であれば誰でもそうなる。

あの訓練だけは参加する教官の数がやけに多いんだ。なぜかって?訓練担当に入っていない教官も自主的に参加してくるからだ。

血の気の多い教官たちがアドレナリン全開でお前たちを鍛えるからな。楽しみにしてろよ」

 

その後も、あの訓練の音がするたびにこのようなことを言われた。

こうして私たちは教官の思惑通り、充分な不安と恐怖心を抱くようになった

 

入校当初の警察学校生とはどんなものか

罠にかかって身動き取れなくなった野生動物のようにただただ怯えている生き物だ。

 

ただでさえ弱々しい私たちにとって、その訓練に対する情報は、教官や学校に対する恐怖心を植え付けるのに効果抜群だった。

その後も、先輩期たちがその訓練をやっている音は定期的に聞こえてきた。

 

その音が聞こえるたびに、私たちは不安になり、気が重くなり、いつしか絶対にやってきてしまう自分たちの初訓練の日程を確認していた

 

まだまだ先だと思っていたその訓練。

それはあっという間にやってきた

 

訓練前日。

担当教官は夕方の連絡でこう言った

「明日はお前たちが待ちに待った日だ。

夕飯はたらふく食べて力つけておけよ

早く就寝しておけよ

明日の朝飯は腹いっぱいまで食わない方がいいぞ。もどす(吐く)奴が多いからな

明日を楽しみにしているぞ」

 

寮に戻っても、話題は明日の訓練のことばかり

「おれ自信ないよ」

「救急車はおれかな」

「足より腕がきつそうだよな」

「この靴ほとんど履いてないから靴擦れしそうじゃない?」

「無理しないで脱落しよ」

「いや、意外と大したことないんじゃない?」

 

こういった光景は警察学校のいいところでもあり、気持ち悪いところでもある

つらいことも嬉しいことも自分一人じゃないってこと。

どんなに苦しい訓練でもそれは自分だけじゃない

仲間意識、全体主義、連帯責任

好きな人は好きだろうし、嫌いな人は嫌いだろう

 

私は人情味の無いドライで冷たい人間なので、あまりこういう輪には入れない

ただし、負けず嫌いなので、最後の1人まで絶対脱落しないという闘志は燃やしていた。自分のことしか考えていない

でも卒業式の日には泣いたから、クールな振りをしているだけなのかもしれません

 

こうして思い思いに不安な夜を過ごし、当日を迎えました

「知らない」「未体験」というのは、恐怖心を必要以上に煽る

実際やってみたら自分には全然できることだった、っていうこともけっこうある

知らないから不安になる

さて、この訓練はどうだったか

 

実際にやってみての感想

 

一言で言うとすっごく楽しかった

 

何が楽しいの?

集団戦のバトル、ケンカ、衝突の擬似体験ができる

教官たちも鉄パイプとかで盾をぶん殴ってきたり、引きずり倒してこようとする

そうすると、私たちも仲間を守ろうとみんなで助けたりする

教官はさすがにちゃんと手加減してくれるんですが、それでもリアルなバトル気分は充分味わえる

教官たちよりも学生側は必死です。

頭に血が上ってアドレナリン全開になって、教官を敵とみなして助け合ってすっごく楽しい

大きな声出すのも気分がスッキリします

あんな怒鳴り声上げ続けるなんて、一般社会でやったら変質者です

でも、警察学校ではむしろそれを良しとされる

 

集団対集団のバトルを仕事でできる職業なんて中々ないですからね

他には自衛隊くらいしかないでしょう

本当に貴重な経験になりました。

こんな気分を味わえて、これで給料もらえるなんて、なんていいところだって思いました

 

きつくないのか?

きつくないことはない。

でも、体を鍛えるにはちょうどいいくらいの負荷でした

私は長距離も短距離も、走力はクラスで上位3人に入るくらいだったので、そっちは全然楽勝

きつかったのが腕ですね

重い盾を持ち続けるので腕はパンパンになりました

でも、いい筋トレくらいの負荷でした

あの盾振り回したりして楽しかったですね。

盾と盾がぶつかったり、盾と地面がぶつかるとゴン!

っていい音がするんです。その音にハマってしまって。

訓練終わってからもゴンゴンやってました

 

脱落した者はいなかったか?

いました。男は確か2名くらい。女性は生き残ったのは一名だけでした

脱落した男二人は、いつもやってる走力トレーニングでも脱落している二人です

女性よりも先に脱落しちゃうようなヘタレ君です。この訓練が厳しいかどうかの判断基準にはなりません

 

女性の脱落者にはさすがに教官も厳しくは言いません

「無理しないでやれる範囲でやれよ」って言ってました

警察学校の教官て理不尽で無茶苦茶みたいに思われてるみたいですけど、そんなのごく一部の教官だけですよ

 

ということで、やってみたら刺激があって、いいトレーニングにもなって楽しい訓練でした

次の訓練日が楽しみになるくらいでした

やる前から不安ばかり考えても意味がない

なんでもやってみないとわからない

やったことないとできるかどうか不安ばかりが先行してしまう

情報だが先行してしまうと、悪い方にばかり考えてしまう

でも、実際やってみたら自分が想像していたのと全然ちがってたりします

やる前から必要以上に不安になるのはムダなことだと思いました

なんでもやってみる

それでやっぱりダメならそれでいいだろうし。

そんなことまで思った警備訓練でした

 

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