元警察官のケイです
何年も警察官をやっていると、あの捜査の結論はあれでよかったのだろうか、と思うような出来事はいくつかはあります。
今回はその中で紹介できそうな変死体の一つ、首吊り死体の頭蓋骨がなかった時のこと。
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発見者からの110番通報で始まった
私が刑事課に勤務していた時の、9月下旬頃。
まだまだ暑さが残る時季でした。
土曜日か日曜日の当直体制の日の昼過ぎ、天気は快晴でした。
110番通報が入りました。
「〇〇本部から〇〇(署の名前)」
ゲッ、うちだ。頼む刑事課の担当事案は来るな
「変死の通報。森の中で首吊り死体のようなものを発見したと目撃者からの通報。現場で警察官の到着を待つ」
うわぁ、さっそく一体目来ちゃったか。
なんでおれたちが当直の日に発見するんだよ。あと20時間待ってくれれば別の当直班だったのに
そう思いながら、刑事課当直員5人で現場に向かいました。
現場は深い深い森でした。
滅多に人が入らないというレベルではない。
今まで誰も入った人がいないのではないかというくらい深い森の中でした
出入口のようなものも、道のようなものもない。
本当に↓こんな感じ↓のところを、草木をかき分けて入っていくところでした。
なぜ発見者はそんな深い森の中にあった死体を発見したのか。
発見者は、山菜採りをするために森の中に入っていた3~4人くらいのおじさんたちでした。
私たち刑事課員はこう思いました。
「なんでよりによって自分たちが当直の日に山菜取りに行くんだよ」
発見されてしまったものは仕方ないので、森の中に入っていくしかありません。
草木をかき分けて入っていくのです。
発見者たちに案内してもらいながら、森の中に入っていきます。
9月下旬は蚊とか害虫がまだまだいます。
変死体の現場には真夏でも長袖の作業着を着ていきます。
しかし、あっという間に蚊の餌食になりました。
山菜採りグループの人たちへの怒りはますます増していく
残念ながら死体はあった
草木をかきわけ、50メートルくらい進んだ所ですぐにわかりました。
死体、、、
というより衣服が確認できました。
少し傾斜になっている所に、高さ3~4メートルくらいの大きな木があり、その木の太い枝にロープを巻きつけて首を吊っていた・・・・のだと思いました。
というのも、ロープは木にぶら下がっているのですが、ロープには何もついてない
そのぶら下がったロープの真下に、衣服とその中に白骨が見えました。
この時点では事件か自殺はわかりません。
殺されて誰か別の人間が下ろしたのかもしれない。
自殺だったとしたらすでに死後相当な時間が経過しているということです。
これが現場到着時の状況でした。
身元も判明して、自殺体としてさっさと終了・・・のはずだった
写真撮影を始めて現場活動開始です。
私たち刑事課員の希望的な筋書きはこうです。
「この自殺者は、何かを理由に誰にも知られずに自殺したかった。
そして誰も来ないこの場所に一人で来てここで自殺した。
誰にも知られることなく月日が経過したが、たまたま山菜採りに入った人たちに発見された。
事件性はなく身元もすぐに判明して、明日の夜勤明けは昼過ぎには帰って彼女と思いっきりするぞ。」
本当はこういった先入観や自分の筋書きというものは絶対に持ってはいけません。
真実を見誤ったり、都合の悪いことを無理に解釈しようとする原因になります。
服をめくっていくと、何百という小豆のようなものがパラパラと服の中から出てきました。
その小豆のようなものは中は空洞です。ものすごい数です。
なぜこんなものが大量に出てくるのか
この小豆のようなものの正体は、かなり前に孵化して中身は出て行ったハエの卵の殻です。
この人が死亡後、数日後には死体が腐り始めます。
腐乱していた時に死体を食い漁っていたウジ虫たちが孵化(ふか)してハエになった後の殻です。
きっとその頃、ここはものすごいことになっていたでしょう。
恐ろしい激臭を放ちながら腐乱が進んでいく死体。
誰にも邪魔されることなく好きなだけ死体を食いつぶすものすごい数のウジ虫たち。
何百という小豆のような殻を見て恐ろしくなりました。
服をめくるたびに小豆がパラパラと落ちてきます
今後小豆を食べる際にはぜひこの話を思い出していただきたいと思います
大きさも色もそっくりでした。
ポケットの中に財布が残っていて免許証も入っていました。
しかし、白骨死体ですので免許証の写真とこの死体が同一の人かどうかもわかりません。
照会したところ、その免許証の人は数年前から行方不明になっていて、家族から捜索願が出されている人だということが判明しました。
全ての服を取り除き、白骨死体が出てきました。
しかし、ここで大問題が発覚してしまいました。
明日の夜勤明け、昼には帰るどころか、もしかしたらそのまま職場にもう一泊になることもあり得る問題です。
白骨の中に、もっとも重要な部分がなかったのです
今回はこのへんで。
続きはこちら→頭部の無い首つり死体の謎 2
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