隠れ名作として埋れさせてはいけない。成田闘争を描いたマンガ「ぼくの村の話」は名作の社会派マンガ。

警察官を辞めてから出会ったこのマンガ

ぼくの村の話

これはいわゆる「成田闘争」の実話に基づいたマンガです。

成田闘争と言われますが、私としてはこれは内戦だと思います。

シリアやイラクで起きている内戦も、政府対非政府です。

成田闘争は、軍(自衛隊)が出動することはなく、警察の部隊と市民との戦いではありましたが、やっていることは命をかけた戦争です。

そして実際に双方に死者も出てしまう。

警察の役目は、市民の命や安全、財産を守ることです。

でもこの時は、犯罪者でもなんでもない農家の人たちの財産を、強制的に取り上げるのが警察の任務でした。

ただし、内戦にまでなってしまった原因や責任は警察にあるわけではありません。

警察も被害者とも言えます

内戦という事態にまでさせてしまった犯人は誰なのか。

私としては、主犯は二人いると思っています。

 

・警察がやったことは正義なのか

・多数派の利益のために少数派の権利・財産を強制的に奪っていいのか

・政府や警察がどれだけおそろしいものか

 

警察官になりたいと思っている人も、そうでない人も考えさせられるマンガです。

政治や社会の正しいあり方とはなにか

そういうことを考えさせてくれるマンガです。

1、あらすじ・内容

この話は1960年代に始まった「成田闘争」の実話に基づいたマンガです(成田市全域で起きたことではないので、中心地だった三里塚という地名から三里塚闘争とも言われます)

(1)原因

1960年代、政府は首都圏に新しい空港の建設を考えていた。

理由は、経済発展によって羽田空港がパンク状態になっていたから

そこで、いくつかの候補地が上がる中で、最終的に今の成田市にある三里塚という地区を中心としたところに、それまで日本にはなかった大規模な国際空港を建設することを決定した

 

しかし、ここで政府は大きな間違いを犯します

空港建設予定地としたところには、多くの人が住んでいたんです

ほとんどが戦後に荒地を苦労して開墾してきた農家の人たちでした

しかし、人が住んでいるところを予定地に決定したことは、最大の問題ではありません。

 

もっとも大きな過ちは、決定前にその住民たちに何の相談や意見聴取をしなかったことです

 

決まったから土地を明け渡して出て行け。他の土地は与えるし金も渡す。だから出て行ってくれ

これが政府のやったことでした

このスタートの段階で政府が大きな過ちを犯します

成田闘争が内戦にまで発展してしまった最大の原因は、この最初の政府の失敗です

 

農家の人たちにとって、農地はアイデンティティそのものです

金と代替地をやるから出て行けと言われても、そういう問題ではありません

事前に何も知らされずに決められた地元住民の人たちは、政府に対して大きな不信感や反発を持ちました。

人として当たり前です。

 

政府は慌てて千葉県知事などに説明会などを開かせましたが、地元の人たちの政府への不信感や不満は収まるわけがなく

これが闘争の始まりです

 

2、政府は力で叩き出すことを決定する

政府の説得に応じず多くの農民が、空港予定地から出て行こうとはしませんでした

このままでは予定の開港に間に合わないと焦った政府は、ついに土地収用法という法律で、強制的に土地を奪うことを決定しました

強制的にとは、つまり力(武力)でもって土地を奪うということです

で、これ誰がやるのか

現地に行って、農民の人たちを力で引きずり出し、家をぶち壊す。

これをやるのは誰か

空港建設地を決定した政府や議員がやるわけありません

空港建設会社がやるべきことですが、建設会社にそんなことできません

誰がやるのか

それが警察でした

もっと具体的にいうなら、警察の機動隊でした。

警察の機動隊を現地に送って、農家の人たちを叩き出し、邪魔になる家や畑をぶち壊す

そうなることが決定しました

 

3、警察の機動隊と、自分の土地に住み続けたい農民との衝突へ

ここからは、マンガの方を読んで欲しいのでサラッと内容を紹介していきます

ついに、現地で機動隊と農民との直接の衝突が起こります

最初は座り込みなどの抵抗で、機動隊に大して危害を加えるようなものではなかった

しかし、これがある時を境に一気に過激化していきます

その要因がテロリストたちによる便乗です

 

4、テロリストたちによる闘争への便乗で、闘争手段は内戦レベルへ

当時日本には、テロ行為や武力によって日本を転覆させることを考えているテロリストたちがたくさんいました

いくつものテロ集団があったのですが、ほとんが共産主義から始まっているものです

極左集団と呼ばれることも多いです

極左集団と言うとイマイチどんなことをする集団かわかりずらいですが、わかりやすく言えばテロリストたちです

爆破事件や襲撃事件を起こし、社会を恐怖させる

資金源のために強盗をして、テロの際には盗難車を使う

そうやって社会を怖がらせて自分たちのしたい社会を実現しようと考える集団です

↓これらはそういう集団が起こした凶悪事件です

浅間山荘事件

ダッカ事件

渋谷暴動事件

新宿騒乱事件

成田闘争より後に起きた事件もありますが、こういった超凶悪事件を組織的に行なっていたテロリストたちです

このテロリストたちが、成田で政府と市民が戦っているというところに目をつけてしまったのです

市民と政府が戦っている成田は、政府を暴力で攻撃したい極左テロリストたちにとっては最高のチャンスです

このテロリストたちが空港反対派の農民たちに近づいていきます

最初は無償で農作業を手伝い、やがて火炎瓶の作り方を教えていくようになります

ここから成田闘争は一気に戦争になっていきます

警察官を殺害することを正義だと思っているテロリストたちです。

土地を守るはずだった闘争に、政府・警察官を暴力で攻撃することが目的の闘争が加わってしまうのです

 

これは成田闘争を知る上でとても重要なポイントです

成田闘争で機動隊に火炎瓶を投げている人は二つに分かれます

ひとつは、普通に暮らしていたのにある日いきなり、自分の土地から出て行けと言われて戦っている農民

ひとつは、テロ行為をしたいだけのテロリストたち

これを一緒にしてしまうと、成田闘争の本当の姿はわからなくなってしまいます。

権利・財産を守るために戦った農民と、テロリストはまったく別物です

 

さて、ここからは警察の方も命をかけた任務になります

何しろ極左テロリストたちは、警察官を殺害することを何とも思っていない連中です。

むしろどれだけ警察官に危害を加えたかが称賛される実績になるような連中です

現場での失敗は機動隊の死を意味します。

だから戦争です。

どれだけお互い悲惨な犠牲が出たかはマンガを読んで欲しいのですが、どうしてもここで紹介しておきたいのが、

東峰十字路事件です

これは、最大の犠牲は機動隊の警察官3人が殺害されました。

しかも殺害のやり方も、生きたまま焼かれたり、ヘルメットが割れるまで凶器で殴られるなど、テロリストになるような異常な人間にしかできない殺され方でした。

さらに、他の隊員たちに中にも、車椅子生活になるほどの後遺症を負った人もいました。成田闘争の中でももっとも凄惨な事件です

東峰十字路というところで警備活動していた、神奈川県警の機動隊が極左テロリストたちに襲撃され、生きたまま焼かれるなどの殺され方をしました

この事件をきっかけに反対派農民、それから世論の流れは大きく変わっていきます

復讐に燃える警察の活動もそれまでとは大きく変わっていきます

 

空港反対派農民の活動を引っ張ってきた人物の自殺

東峰十字路事件のあと、今度は反対派農民の中心人物の一人が自殺体で発見されます

その遺書には、こう書かれていました↓

 

マンガはこの人の自殺のところで話は終わりです

実際の歴史では、開港直前にもこんな↓凶悪事件も起きています

→開港直前に起きた成田空港管制塔襲撃事件←

 

多くの人を不幸にした成田闘争

土地を守りたかった農家の人たち

現地での武力衝突を命じられた機動隊員たち

それぞれが取り返しのつかない犠牲者です

私はこの大きな不幸を生んでしまった最大の犯人は、政府と極左テロリストだと思っています

 

この実際の闘争をマンガで読みやすく描いてくれたのが

ぼくの村の話

です。

 

これから警察官になろうと思っている人は必読のマンガです

このマンガを読んで考えることは、本当に正義の警察官になるために必要なことです。

警察官になれば、警察側から見た成田闘争についてはいくらでも教え込まれます

 

でも、土地を奪われる側だった農家の人たちの立場や気持ちを教えられることはありません。

それを教えてくれるのがこのマンガです。

 

古い本なので書店などで見つけるのはかなり困難です

こちら↓アマゾンで購入すればすぐに読めます↓

 

コメントを残す